NNAカンパサール

アジア経済を視る August, 2017, No.31

インフラ編[1〜3位]

経済成長に伴う需要拡大や、中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」などを受け、アジアのインフラ関連ニュースが注目を集めている。最近のNNAの記事からトップ10をまとめた。

香港機能を活用せよ
日系の「一帯一路」参画に可能性NNA POWER ASIA 2017年7月4日付

香港

習主席はトランプ米大統領との会談で、一帯一路に米国が参画することを歓迎すると表明。今後潮目が変わる可能性も出てきた(新華社)

中国の習近平政権が掲げる現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」は、構想段階の事業も多く、具体的な案件がほとんど出ていない状態と言われる。「まさにこれからが本番」(香港政府関係者)の一帯一路の事業に日系企業はどう参画していけばよいのか。一つの突破口となりそうなのが、香港が持つ「情報収集」などの機能や、「さまざまな関連企業・団体が集まるプラットフォーム」の活用だ。

潮目が変わる機運も出てきた。共同通信によると、安倍晋三首相は6月5日、一帯一路に関して、条件が整えば協力すると表明。この発言を受け、中国の汪洋副首相も「前向きな動きだ」と歓迎した。

米国でも今年4月に行われた中国の習国家主席とトランプ大統領の首脳会談を経て、一帯一路への参画意欲が高まっている。

トランプ大統領は6月22日、中国外交担当トップの楊潔チ国務委員(チ=竹カンムリに后の一口が虎)との会談で、「米国は中国とともに一帯一路の建設を進めることを望む」と表明し、同日には米中のゼネコンが一帯一路事業の提携に向けて話し合いの場を設けたと伝えられた。

これまで一帯一路と距離を置いてきた日本と米国。この2国が積極的に関与するようになれば、一帯一路の関連事業がさらに進展することも考えられる。

7千億円以上のインフラ協力
日比合同委、詳細の協議を開始NNA POWER ASIA 2017年7月10日付

フィリピン

環境配慮型都市「クラーク・グリーン・シティー(CGC)」の開発に関する協力覚書を交わした関係者ら=7月7日、マニラ市(NNA撮影)

日本とフィリピン両国政府は7月7日、マニラで経済協力インフラ合同委員会の第2回会合を開催し、メガマニラ(マニラ大都市圏)の地下鉄整備事業の協力などで意見交換した。フィリピン政府によると、総事業費が3,150億ペソ(約7,093億円)以上となる9案件について、実現に向けて詳細に関する協議を始めた。11月に安倍晋三首相が東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議に合わせてフィリピンを訪問する際に、融資契約を締結したい考えだ。

会合には、日本側からは和泉洋人総理大臣補佐官、フィリピン側からはドミンゲス財務相、国家経済開発庁(NEDA)のペルニア長官が代表として出席。内容は非公開だった。

日本の外務省によると、会合では、メガマニラの地下鉄事業を含むインフラ整備、違法薬物対策、ミンダナオ和平、治安・テロ対策など、フィリピン政府が取り組む重要課題の解決に向けた官民での協力のあり方について議論した。今後も同委員会を通じて緊密な意思疎通を図り、具体的な協力案件の着実な実施を目指すことで一致。双方の合意事項を記録していく実施協議合意書(R/D)を締結した。

フィリピン政府は会合後に会見を開き、インフラ9案件について、日本政府と詳細の協議に入ったと明らかにした。9案件には、メガマニラの地下鉄整備事業の第1期など大型の鉄道事業2案件が含まれる。

高速鉄道に“純国産”新車両
「復興号」運行開始、輸出主力にNNA POWER ASIA 2017年6月27日付

中国

北京南駅で出発を待つ復興号。上海虹橋駅へ向かう=6月26日(新華社)

中国が開発した新世代の高速鉄道車両「復興号」が6月26日、北京と上海を結ぶ路線で運行を開始した。海外から導入した技術をベースとする従来型の「和諧号」と異なり、中国が「完全に独自の知的財産権を保有する世界先端レベルの車両」(人民日報)。国策として推進する高速鉄道の海外輸出戦略において、国際競争の切り札と位置付けられる見通しだ。

6月26日付人民日報などによると、新型車両の開発プロジェクトは2012年、中国の国鉄運営を担う中国鉄路総公司(中国鉄路)の主導で開始。技術面を担当する中国鉄道科学研究院や、鉄道車両メーカーの中国中車など、20を超える機関がプロジェクトに加わった。

このほど完成した車両は「CR400AF」と「CR400BF」の2系統があり、それぞれ中車傘下の中車青島四方機車車両と中車長春軌道客車が製造する。最高時速400キロメートル、運転時速は350キロの設計で、300キロ前後での運行を想定している和諧号に比べ一段と高速化を図っている。

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