NNAカンパサール

アジア経済を視る June, 2017, No.29

[7位〜10位]

日本食材の中華への活用提案
市場開拓を積極化、見本市開幕NNA POWER ASIA 2017年5月9日付

香港

食品や調理器具などの国際見本市「HOFEX2017」が5月8日、湾仔の香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)で開幕し、日本貿易振興機構(ジェトロ)は日本食材を使った各国料理と日本酒のペアリング提案を行った。香港では日本食店を中心に販売チャンネルが確立されているが、地場レストラン向けの新規市場も積極的に開拓する狙いだ。

ジェトロ香港事務所ではこれまでにも日本食品の中華料理や西洋料理への活用を推進してきたが、伊藤亮一所長によると、「効果はまだ見られていない」。背景には、例えば日本酒であれば、中華レストランに日本酒を紹介するソムリエのような存在がいないことがある。こうした状況を踏まえ、今回は料理人を巻き込んでペアリング提案する場を設けた。

中華料理に合う日本の食材と日本酒の提案では、中華料理店・唐人館の総料理長を務める欧国強氏と日本清酒文化交流会の何亮志会長、西洋料理ではグルメ番組の司会者でもあり、著名洋食シェフの楊尚友氏と日本酒バーのオーナーの百瀬あゆち氏がそれぞれ調理の実演と日本酒の解説を行った。

無農薬野菜に広がる商機
日系も参入、輸入品不信が後押しNNA POWER ASIA 2017年5月19日付

カンボジア

ナチュラル・ガーデンの店内には自社農場で栽培した無農薬野菜が並ぶ=プノンペン(NNA撮影)

カンボジアで無農薬野菜の商機が広がり始めている。市場規模は野菜の国内消費量全体の2%に相当する2万トンとまだ小さいものの、中間所得層の台頭で都市部を中心に需要が高まっている。隣国などから流入している原産地不明で安全性が確認できない農産品に対する懸念が強まっているためだ。地場企業や日系企業が事業展開に乗り出す一方、政府による規制の策定が遅れるなど、課題も浮き彫りになっている。

カンボジアの野菜消費量は年100万トンに上る。自給率は44%にとどまり、残る56%を輸入に頼っている。一方、中間所得層の台頭で生活様式に変化の兆しが出始め、食の安全に対する意識も高まり始めている。こうした変化の波をいち早く捉えようと、未開拓の無農薬野菜市場に手を伸ばす企業が増えている。

「事業を開始した当初は外国人が主な客だったけれど、いまでは地元民が大半を占めている」。無農薬野菜を手掛ける地場大手ナチュラル・ガーデンでゼネラルマネジャーを務めるオウレン・キャドット氏は、地元民の食の安全意識の向上に驚きを隠さない。

同社は2008年、首都プノンペンに1店目の販売店を開業した。現在は4店体制で、無農薬の野菜や果物を1日当たり約700キログラム売っている。自社農場や契約農家、無農薬認証を取得したベトナムの農家から商品を調達している。

VR新会社立ち上げ、HTCの元総経理NNA POWER ASIA 2017年5月8日付

台湾

JPWの設立を宣言する董氏=台北(NNA撮影)

スマートフォン大手の宏達国際電子(HTC)で北亜区(北アジア地区)総経理を務めた董俊良氏は5月5日、VR(仮想現実)のソリューション開発を手掛ける新会社「JPW」を設立した。HTCの経営戦略に深く関わってきた董氏は今年4月末、同社を電撃辞任し去就が注目されていたが、今後はJPWでVRアーケードゲームの普及に注力する意向だ。

JPWの初期資本金は1,000万台湾元(約3,700万円)。出資比率は最高経営責任者(CEO)の董氏が51%、残りの49%を董氏の盟友である周永明氏と頼銀リョウ(リョウ=木へんに梁)氏が折半出資。JPWは3氏のイングリッシュネームの頭文字から命名した。

JPWは今後、インジョイモーションのハードにフューチャータウンのコンテンツを搭載したアーケードゲーム機を各地に設置していく。IT業界は、ともにHTCで幹部を務めた董氏と周氏が、VR事業で再び手を組む点に注目している。

董氏はNNAに対し「(2016年9月に開かれた日本最大規模のコンピューターエンターテインメント関連見本市である)東京ゲームショウ(TGS)が創業のきっかけ」と説明。董氏はHTCのVR用ヘッドマウントディスプレーに対応したバックパック型PCを紹介するため、周氏は自らコンテンツやサービスをプレゼンテーションする目的でそれぞれTGSに参加し、再会を期に共同でVR事業会社を立ち上げる構想が一気に具体化したという。

日本人商工会、今年度も事業環境整備訴えNNA POWER ASIA 2017年5月18日付

フィリピン

総会には約250人が出席した=マカティ市(NNA撮影)

フィリピン日本人商工会議所(JCCIPI)は5月17日、2017年度会員総会をマニラ首都圏マカティ市内のホテルで開催した。白石浩会頭(フィリピン住友商事社長)が、引き続き日系企業を取り巻く投資環境の改善をフィリピン政府に訴えていくなどの事業計画案を発表し、参加した会員の賛成多数で承認された。

今年度の事業計画は、16年度に引き続き、◇ビジネス環境の整備◇開かれた商工会議所◇積極的な情報発信――の3つからなる。白石会頭は、フィリピン経済は足元で堅調に推移し、今後の成長も見込まれるため、日本国内からの注目度は高まっていると指摘。一方で、インフラ整備、労働問題など解決すべき課題は多いため、今年度も各政府機関や閣僚との会合を開催し、情報収集、意見・提案書の提出などの活動を積極的に行う方針を表明した。引き続き、日本大使館、日本貿易振興機構(ジェトロ)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などと連携して「チーム日本」で投資環境の改善を訴える。

白石会頭は、投票で選ばれた15人の理事を紹介。外国商工会議所との連携や政府との交渉役を務めてきた藤井伸夫副会頭(カビテ輸出区投資家協会=CEZIA名誉会長)を専務理事に指名し、賛成多数で承認された。

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