NNAカンパサール

アジア経済を視る June, 2017, No.29

[4〜6位]

オフショア開発、バングラに熱視線
中・越に次ぐ分散拠点として注目NNA POWER ASIA 2017年5月18日付

バングラデシュ

スマートフォンアプリや統合基幹業務システム(ERP)などを海外に委託する日本企業のオフショア開発先として、人口1億6,000万人で労働力が豊富なバングラデシュが注目されつつある。中国、ベトナムに続く低コスト拠点としての位置付けだ。コスト上昇や労働力不足などのリスクを分散する流れは製造業だけではなく、IT業界にも押し寄せている。

ポータルサイトの「オフショア開発.com」<http://www.offshore-kaihatsu.com/>がまとめた「オフショア開発白書」(2016年度版)によると、開発先として問い合わせ(1,000件超)件数が最も多かったのはベトナム(48%)で、2位の中国(21%)を大きく引き離した。担当者によると2010年頃にベトナムが中国を逆転して首位に立った。バングラデシュ(4%)は6位だが、前年度の2%台後半からポイントを上げた。

なお、中国は2位の人気だが、これまでの開発実績や豊富なサービス提供、日本語能力も高いため、日本企業のオフショア開発の発注額では中国がトップだ。

東京ビッグサイトで5月10〜12日に開催されたIT展示会「ジャパンITウィーク」は、22カ国の外国企業を含む1,600社が出展。3日間で8万8,725人が来場したIT分野で日本最大級の展示会だ。

バングラデシュのパビリオンでブースを構えた企業は10社以上。ブースの出展企業は一様に「昨年よりも来場者の認知度は高まっている」と手応えを感じていた。

バングラデシュでの開発のメリットは何か。英語力に加え、転職が少ない、開発に必要な数学的センスが高いなどが挙げられる。また、縫製業以外に優位な産業がないことからIT従事者の地位は高く、長期的にみて人材不足は起きにくいと言われる。

無印、スリアKLCC店オープン
首都圏を超えた展開へ前進NNA POWER ASIA 2017年5月2日付

マレーシア

モール内でも高い集客効果が見込める区画に出店したスリアKLCC店=クアラルンプール(NNA撮影)

総合雑貨店「無印良品(MUJI)」を展開する良品計画は4月28日、マレーシア・クアラルンプール(KL)中心部のショッピング・モール「スリアKLCC」に新店舗をオープンした。ブランディング強化のための重要店舗となる。同店により主要モールへの出店が完了し、首都圏での展開に一つの区切りがついた。今後は、首都圏以外の地域での出店、カフェ事業の展開などを目指し、可能性を探っていく方針だ。

スリアKLCC店により、国内に展開するMUJIは7店舗となった。良品計画の山本祐樹取締役(西南アジア・オセアニア事業部長)はオープニング式典で、「同国のシンボルとなっているペトロナス・ツインタワーの麓にあるスリアKLCCへの出店は、悲願だった」と語った。

良品計画は昨年11月、KL中心部のショッピング・モール「パビリオン・エリート」に旗艦店をオープンさせている。スリアKLCC店は、旗艦店に準じた位置づけとして、MUJIのブランディング強化を図る重要店舗となる。

新たな試みとして、「刺繍(ししゅう)工房」と「メイクアップ用品」のコーナーを設けている。刺繍工房は、MUJIで購入したタオルや衣服など布製品に、文字や200以上あるサンプルから選んだマークなどを刺しゅうできるサービス。これまで日本、中国、香港、韓国で導入しており、マレーシアで5番目の導入となる。山本取締役は、MUJIの商品だけでなく「体験」を提供することで、MUJIの新たな顧客層の開拓、愛好者との関係強化につなげたいと説明した。

日本が官民で電波技術PR
東芝など、東南アの需要取り込みNNA POWER ASIA 2017年5月5日付

タイ

セミナーで「固体化気象レーダー」をPRする東芝の担当者=バンコク(NNA撮影)

日本の総務省は5月4日、タイの首都バンコクで日本の電波システムを紹介する国際セミナー「ジャパン・ワイヤレス・エキスポ・イン・タイランド」を初開催した。日本からは東芝や日本無線などが講演し、東南アジア諸国連合(ASEAN)の電波システムの運用・調達に関わる官民の関係者らが聴講した。交通や気象・防災分野などで電波利用が拡大する東南アジアで、日本のシステムを売り込む狙いだ。

セミナーでは「電波監視」「気象・防災」「交通・宇宙」の3分野に関する製品の紹介が行われた。東芝は、最新技術を駆使した「固体化気象レーダー」をアピール。観測データを集めるために電波を出す部品を従来の電子管から半導体に変え、降雨強度の観測精度を向上させた。電子管の定期交換が不要となり、運営コストも削減できるという。

東芝インフラシステムソリューションの電波システム事業部の担当者は、タイで使用されている旧式の気象レーダーでは電波干渉の影響で、実際に雨が降っていない場所でも雨が降っているようにデータが報告されている事例があると指摘。総務省との協力により、気象レーダーと合わせて周波数の管理ノウハウなども提供する用意があると話した。将来的にアジアで実証実験を行う計画で、タイが有力候補になっているという。

セミナーでは、日本無線の空港面探知システムにも注目が集まった。同システムは空港内における航空機の位置を測定するもので、従来のレーダー型よりも性能やコスト面で優れており、世界の主要空港で導入が進んでいる。タイではスワンナプーム国際空港で利用されており、南部プーケット空港や北部チェンマイ空港でも導入する計画がある。ミャンマーやラオスなどの新興国への売り込みも強化する方針だ。

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