NNAカンパサール

アジア経済を視る June, 2017, No.29

[1〜3位]

アジア開銀が50周年総会
「中国主導のAIIBと協調」NNA POWER ASIA 5月5日付

日本

市民団体との対話に参加したADB中尾総裁=横浜市内の総会会場(NNA撮影)

アジア開発銀行(ADB)の第50回記念総会が5月4日、横浜で開会し、中尾武彦総裁は「アジアの新たな課題に対して取り組みながら融資を拡大する」と語った。中国主導で2015年に設立された国際開発金融機関のアジアインフラ投資銀行(AIIB)については、両行は競合ではなく、パートナー関係にあることを強調した。

会見では、AIIBに関する質問が相次いだ。AIIBの参加表明国は既に、ADB加盟の67カ国・地域を上回っている。中尾総裁は、「メディアはAIIBをライバルとして位置づけたがる」と苦言を呈す。ただ、インフラ需要が大きいため、融資で競合関係にはならず、協調融資を含め協力できるパートナーだと語った。銀行マネジメントのあり方などこれまで9回、AIIBの金立群総裁と会って話したという。AIIBがこれまで融資を決めた案件では、パキスタンの道路建設をはじめ、ADBとの協調融資が多い。

AIIBと比較したADBの強みとして中尾総裁は、各国の構造改革や無償資金援助など、50年の経験を背景としたネットワークや知見、スキームは比べようがないことを挙げた。理事会を通じた議論も強みと指摘し、例えばプロジェクトに住民移転問題が発生した場合、本部の理事会で話し合って解決すると説明した。理事会をインターネットで行おうとしているAIIBとはこの点で大きく異なるという。職員数も3,000人のADBに対してAIIBはまだ100人程度と、人的資源の厚みも違う。

2兆円市場の日中越境EC
口コミ活用、各社が攻略へ取組みNNA POWER ASIA 5月17日付

中国

BCLの嶋英樹・海外事業部長は、日本で大人気の洗顔料「AHAクレンジングリサーチ」をPR

拡大を続ける中国のクロスボーダー電子商取引(越境EC)市場の中でも、日本製品は安全、高品質を売りに高い人気を維持している。日本の経済産業省によると、日中間の越境ECの規模は2019年には2兆円を超えるとの試算もある。4月下旬に北京で行われた、越境ECのバイヤーに向けた日本製品のPRイベントに参加した企業に、口コミの活用など市場攻略への取り組み、業界が直面する問題などを聞いた。

北京で開かれたIT業界のカンファレンス「GMIC」の一部として、インターネット広告を手掛けるオプトホールディング(東京都千代田区)の主催により日本製品のPRイベントが行われた。イベントには越境ECを手掛ける日本の化粧品・食品メーカー8社と、500人を超える中国人バイヤーが参加した。

化粧品の販売を手掛けるスタイリングライフ・ホールディングスBCLカンパニー(BCL、東京都新宿区)は、日本で昨年4月に発売した朝用美容マスク「サボリーノ」が越境ECで大ヒットしている。同社は1年前から、化粧品の口コミ情報サイトを運営するアイスタイルが中国のECサイト「天猫(Tモール)」などに開設した旗艦店を通じて、自社製品を販売。SNS(会員制交流サイト)などインターネット上で数十万人規模のフォロワーを抱えるインフルエンサー(世間に与える影響が大きい個人)「キー・オピニオン・リーダー(KOL)」を対象にサンプルを集中配布したところ、口コミで人気に火が付いた。以来毎月10万セットを越境EC向けに販売している。月に100万セット超という数量は、日本の月平均販売数を大きく上回るという。

ヤマハ発、19年に160万台
インドを世界一の市場と位置付けNNA POWER ASIA 5月19日付

インド

インタビューに応じた藤田会長=南部タミルナド州(NNA撮影)

ヤマハ発動機は、インド事業の販売台数(輸出含む)が2019年に160万台を超えるとみている。今年は前年比で20%以上増の120万台を見込んでおり、成長余地があるインドを世界一の市場と位置付ける。生産規模のメリットを生かして価格競争力をつけ、輸出も強化する考えだ。来年5月頃には、約18億ルピー(約30億円)を投じて南部タミルナド州チェンナイ近郊の工場を増強し、全体の年産能力を現行比25%増の150万台に引き上げる。

現地法人ヤマハ・モーター・インディア・グループの藤田宏昭会長がNNAに対して、今後の方針を語った。

17年はインド国内で100万台、輸出で20万台の販売を目指す。18年は140万台、19年は160万台まで伸びるとみる。ヤマハの輸出を含む販売台数は、2016/17年度(16年4月〜17年3月)が96万727台。メーカー別では、地場ヒーロー・モトコープ、ホンダ、地場バジャジ・オート、同TVSモーターに次ぐ5番手につける。

販売増に向けては、まずディーラー網の拡充を図る。17年は現行の600店から100店増やす予定。顧客とじかに接するディーラーの声を吸い上げ、営業本体にフィードバックさせるサイクルを確立し、顧客満足度の向上につなげる。

藤田会長は、インドでは1億台の二輪車が国内を走っているものの、普及率は10人中1人にも達していないと指摘。成熟市場になりつつあるインドネシアやベトナムなどは2人中1人の割合になっており、インドの潜在性に期待を示した。「ヤマハにとって、国別の販売台数は現時点でインドネシアが首位だが、インドが近い将来に世界で最も大きい市場になる」と述べた。

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