カンパサール

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アジアユニークビジネス大賞~コンビニ部門~

進化するアジアのコンビニ ますます便利に面白く

アジアでも拡大し続けるコンビニエンスストア。出店競争が一層と激しさを増す中、商品やサービスの便利さと面白さにも磨きがかかっている

【金】細部のこだわりも注目:中華まんのドラえもんシリーズ(ベトナム)

ファミリーマート・ベトナムは6月に「のび太のお父さんまん」を発売。中身はベトナム人に人気のミルクコーヒーを使用。数量限定で価格は1万2,000ドン(約60円)。6月19日の父の日に合わせて販売を開始した(同社提供)

ファミリーマート・ベトナムが、人気アニメ『ドラえもん』のキャラクターをあしらった個数限定の中華まんを立て続けに発売し、話題を呼んでいる。

同社が中華まんのドラえもんシリーズの展開を始めたのは2015年4月。第1弾となる、ドラえもんの顔をあしらったカスタード入りの「ドラえもんまん」は、限定1万1,000個を3週間で販売する予定だったが、わずか1週間で完売した。

第2弾では、映画『ドラえもん のび太の宇宙英雄記』がベトナムで公開されるのに合わせ、映画に出てくる秘密道具「ミラクルバッジ」をあしらったドラえもんまんを同年6月に発売した。その後は、「ミニドラまん」「ジャイアンまん」「ドラミまん」「スネ夫まん」と、主要キャラクターの中華まんを相次ぎ投入。「のび太」の中華まんはまだ登場していないが、6月には第8弾となる「のび太のお父さんまん」を販売している。のび太のお父さんまんでは、やや盛り上がった前髪を茶色い生地で表現するなど、細部のこだわりがうかがえる。次はどのキャラクターの中華まんが売り出されるか楽しみだ。

編集部コメント:ベトナムでも人気のドラえもん。「ドラえもんまん」だけの販売と思いきや、ミニドラやのび太のお父さんなど、サブキャラの中華まんも続々と登場している。話題性は抜群だ

【銀】有機野菜スーパーと協業:「健康」キーワードに(台湾)

おなじみのコンビニの中に、有機野菜を売るコーナーが並ぶ(NNA撮影)

台湾で「ファミリーマート」を運営する全家便利商店は昨年12月、有機野菜を主に取り扱うスーパーマーケット・チェーン「天和鮮物(ティエンホー)」との複合店を台北市内にオープンした。天和は自前で漁場、農場、養鶏場、牧場をそれぞれ所有し、パン工場や食堂も運営する。ファミリーマートとの複合店は、魚介や有機野菜を売る冷蔵ショーケースが並び、コンビニ内にスーパーが共存するようなイメージだ。全家の葉栄廷董事長は「安全で新鮮な食材や弁当を豊富に取り揃え、中高年層を積極的に取り込む新業態のモデルケースにしたい」と意気込む。

台湾では、2017年に65歳以上の高齢者が全人口の14%を占め、高齢化社会に突入すると予測されている。全家の葉董事長は「コンビニの主要客層は現在、30歳以下の若者だが、若者人口は減少しており、台湾人の平均年齢は既に40歳を超えている。今後はコア客層を若者から中高年に移行していかなければ生き残れない」と指摘。「健康」と「中食の充実」が中高年を取り込む重要なキーワードになるとにらんでいる。

編集部コメント:同じ道路から複数の店舗が見渡せるほどコンビニが集中する台北。コンビニは消費者にとって欠かせない生活インフラとなったが、企業としては若者以外の幅広い客層の取り込みも急務だ。全家は他にも吉野家や薬局との戦略的な異業種提携が興味深い

【銅】洋服は専用ボックスに:クリーニング店が回収(ベトナム)

ミニストップの店内に設置された、衣類を入れる専用ボックス。提携するさくらクリーニングが回収する(NNA撮影)

ミニストップは昨年12月、ホーチミン市内の店舗でクリーニングの取り次ぎ業務を開始した。ベトナムのイオンモール内にクリーニング店「さくらクリーニング」を展開するリヴァイヴ(仙台市)と提携。コンビニでのクリーニング取り次ぎはベトナム初という。

店舗内には専用ボックスが設置されており、利用者はレジで2万ドン(約96円)のデポジットを支払った上でクリーニングしたい衣類をボックスに入れる。ここまでは日本と同じ流れだが、ベトナムでは衣類を回収したさくらクリーニングが利用者に電話し、料金や引き渡し日を連絡する。コンビニを通じたクリーニングに慣れていない消費者への配慮だ。

多忙な会社員や富裕層がターゲットで、日本式の丁寧な仕上がりのクリーニングを24時間体制で提供する。

編集部コメント:ベトナムではそもそも日本ほどクリーニングの利用が普及していないことが課題という。サービスが普及すれば、「クリーニングはコンビニで」という新たな生活スタイルが根付くかもしれない

選評

多店舗経営でコンビニチェーン間の競争が激化しているのはアジアも同じ。各社が独自のサービスや新商品を次々と打ち出し、差別化を図っている。今回紹介した3社はいずれも日系だが、高齢化などそれぞれの国の消費動向や経済的な課題を反映した展開が面白い。

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