カンパサール

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アジアユニークビジネス大賞~テーマパーク部門~

召ばれる!ようこそ異界(アナザーワールド)へ

開発ラッシュで飽和感の進むテーマパーク。倫理無用のモノマネランドから、方向性不明の迷走パークまで、ミステリアスな進化が止まらない

【金】リアルに危険、恐竜の王国(タイ)

入場料大人600バーツ(約1,800円)、子供400バーツ。年間200万人の来場を目指す(NNA撮影)

タイ百貨店大手ザ・モール・グループ傘下のエンポリアム・グループは今年3月、バンコク中心部のBTSプロンポン駅そばに、恐竜のテーマパーク「ダイナソー・プラネット」をオープンした。

いわばタイ版のジュラシックパークだが、この施設は同社が開発予定だった高級商業施設「エムスフィア」の着工が1年延期されたことを受け、建設予定地に1年間の期間限定で開業したもの。

恐竜をモチーフにした大型遊具やアトラクションを楽しむ遊園地で、恐竜の視点を表現した50メートル級の大観覧車「ディノ・アイズ」や恐竜型のロボットカーに乗る「ディノ・ファーム」、巨大な化石の展示場などが用意されている。

実はこの施設、トラブルが相次いでいる。3月の開業直前には巨大な恐竜のレプリカをトラックで運んでいた際、警察に交通違反として恐竜ごと検挙。「警察に恐竜が出現!」と地元のニュースをにぎわせた。さらに開業直後の4月には目玉アトラクションの観覧車で火災事故が発生。幸い負傷者はなかったが、「1年間ももつのか」と同園の先行きを危ぶむ声が強まっている。

編集部コメント:期間限定のため、存続中に見ておくのも話題作りにいいだろう。訪問時は安全に十分注意したい

【銀】冷涼寒は満点 暑いタイで雪ざんまい(タイ)

750平方メートルの雪のスペースを展開。深さ30~40センチの雪が積もる(NNA撮影)

昨年7月、日本の雪国をモチーフとした「スノータウン」がバンコク市内にオープンした。ショッピングモールの屋内に人口雪を積もらせて雪国の街を再現したもので、そり滑りやかまくらといった雪遊びのほか、札幌ラーメンやジンギスカンなど北海道発祥の味覚も楽しめる。同様のテーマパークはタイでは初めて。

BTSエカマイ駅直結の商業施設ゲートウエー・エカマイの5階で営業する。来場客はレンタルの長靴に履き替えて入場。冷気が漂う中、北欧風の邸宅を模した通路を抜けると、雪原が現れる。人工降雪機が氷混じりの雪を吹き出す中、雪遊びを楽しむ親子連れの姿が見られる。週末には1日3,000~5,000人が訪れる人気スポットとなっている。

開発・運営は、不動産投資を手掛けるダヴィンチ・ホールディングス(東京都千代田区)の子会社が行う。日本の飲食店など約20店も出店し、タイ人に人気の北海道ブランドを押し出して集客を図る。今年8月には、ベトナムのホーチミン市にも同様のコンセプトで開業する予定だという。

編集部コメント:暑いアジアで雪という組み合わせがチャレンジング。北海道ブランドの人気は高く、話題性は十分。今後はイベントを開催するなど、リピーター対策がポイントになるだろう

【銅】「教育+娯楽」 今が旬の方程式(シンガポール)

入場料は大人28Sドル(約2200円)、子どもは22Sドル。2歳未満は無料(NNA撮影)

観光地セントーサ島に今年3月、教育と娯楽を組み合わせたエデュテインメント施設「MOSH!」が正式オープンした。

最新のデジタル技術を用いた体験コーナーで、映像、音声、音楽を組み合わせたゲームなどを通じて子供の創造力を育む。例えば、壁の大型マルチタッチスクリーンに向かって紙飛行機を投げるとスクリーンに動く飛行機が現れるといったアトラクションが用意されている。開発、運営を行うのは日系のクリエーティブ・フューチャー・パーク。国内で同様の施設ができるのは初という。

編集部コメント:セントーサでは体験テーマパーク世界大手のキッザニアも4月に開業するなど、子ども向け施設のガチンコ対決がアツい

選評

今年は何といっても中国・上海のディズニーランド開業が注目される。また、日本でよみうりランドが教育的要素を持つアトラクションを導入したり、香港で既存の商業施設を子ども向けにリニューアルした「D・パーク」が誕生するなど、子ども向け施設は国・地域を問わずトレンドになっている。

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