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【有為転変】第87回 自国民の尊厳

エジプトで非合法化されたイスラム組織「ムスリム同胞団」を支援したとして、同国で400日以上にわたって拘束された後、今年2月に釈放されたオーストラリア人記者のピーター・グレステ氏が、26日にキャンベラで大規模なフォーラムに招かれてスピーチしていた。驚かされるのは、グレステ氏が帰国した時から国内は大騒ぎだったことだ。フォーラムにはビショップ外相も招かれ、公共放送ABCは1時間以上にわたり生放送したほどで、グレステ氏はまるで国民のヒーローのようだった。最近オーストラリア人が巻き込まれた国際事件に関する報道を見ていて、オーストラリアはアジア太平洋地域にありながら、やはり西洋的メンタリティーを持つのだなということをあらためて痛感させられている。「自国民の尊厳」にかかわる問題で、あまりにアジア的感覚と異なるためだ。