欧州系銀行が豪州事業の縮小を余儀なくされる中、邦銀の融資残高が増加を続けている。スイスに本部を置く国際決済銀行(BIS)がこのほど公表したデータによると、2012年第2四半期(4~6月)の対豪融資額は、欧州系銀行が177億米ドル(約1兆4,000億円)減少したのと引き替えに、邦銀が137億米ドル増加したことが分かった。世界全体での対豪融資額は120億米ドル減少していることから、市場では邦銀が豪州での資源投資ブームを下支えしているとの見方が強まっている。
24日付シドニー・モーニング・ヘラルドによると、邦銀による豪州への融資活動の一例として、国際石油開発帝石(インペックス)が、北部準州(NT)ダーウィン近郊で320億米ドルを投じて進めるイクシス液化天然ガス(LNG)プロジェクトに対し、国際協力銀行(JBIC)と独立行政法人日本貿易保険(NEXI)が30億米ドルの融資を実施。一方で、ドイツは対豪融資を80億米ドル、英国は21億米ドルそれぞれ削減している。また過去6カ月間では、欧州の銀行の対豪融資額は278億米ドル減少した。
豪輸出金融保険公社(EFIC)のチーフエコノミストは「(国営を含む)アジアの銀行は、豪州の大型資源事業に対し、財政支援の面で重要な役割を担っている」とコメント。欧州の銀行が以前のような融資力を持ち合わせていないことから、アジアの銀行からの融資なしでは資源投資ブームに限りがあると述べた。
豪政府は、海外からの融資活動が鈍化するも依然楽観的な見方を示しており、資源関連に対する対豪融資額は2013年度にピークを迎えると予想している。
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