今年の中国経済は想定よりも伸びなかったと言える。政府が昨年末に新型コロナウイルス対策を大幅に緩和したことで、今年の年初は国内の経済活動が活発化。中でも消費の回復が鮮明化した。ただ好況は続かず、財消費は力強さを失い、中国経済の足かせの一つとなった。新型コロナ後も企業の収益が伸びず、雇用や賃金の見通しが悪化したことが消費を下押しした。近年続く不動産業界の不振や主要国の景気低迷を背景とする外需の落ち込みも中国経済の重しとなった。
ただ政府が各種の景気刺激策を打ち出したことを追い風に、年後半の経済はやや上向いた。今年の経済成長率に関する政府目標(5.0%前後)の達成はほぼ確実だ。とはいえ、「数字ほどの景気回復は感じられない」(日系関係筋)という声も多く、新型コロナの“後遺症”が長引いている印象は拭えない。
平和友好条約発効から今年45年を迎えた日中の関係も難しい局面にある。市場の巨大さなどさまざまな魅力を持つ中国で、日系企業は今後の経営を巡って難しいかじ取りを迫られている。