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【アジアで会う】萬木慶子さん NEDOバンコク事務所長 第287回 初の女性所長として奮闘(タイ)

ゆるぎ・よしこ 東京都出身。大学院で政治経済学の修士号を取得後、1996年に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に入構した。川崎市にある本部での勤務や他機関への出向を経て、2004~09年にタイ・バンコク事務所に次長として駐在。18年に同事務所の所長(アジア地域総代表)として再びバンコクに赴任した。現地の歴史や文化に触れることが好きで、日本では御朱印集め、タイでは寺院や博物館巡りを趣味としている。

「『日本貿易振興機構(ジェトロ)』や『国際協力機構(JICA)』は聞いたことがあるけど、『NEDO』ってどんな組織? と思われる方も少なくないと思います」。経済産業省所管の国立研究開発法人で、「エネルギーの安定供給と環境問題の解決に貢献するための技術の開発・実証・導入・普及」と「産学官の英知を集結した産業技術開発」を主な業務としている。民間企業だけではリスクが高く、投資が難しい重要技術を迅速に実用化し社会に普及させていくため、開発・実証・導入などを一体的に実施する、国と民間企業との架け橋のような存在だ。

海外との出会いは大学1年生の春休み。教授の紹介でネパールの古都パタンにある日本語学校で1カ月半ほどボランティアとして日本語を教えた。生まれて初めての海外、予備知識もない異国の地だったにもかかわらず、カルチャーショックは受けなかった。「父の仕事の関係で子どもの頃から東京、名古屋、大阪を転々としてきた経験が影響しているのかもしれません」。転校先でも友人に恵まれ、方言やなまりなどの違いを受け入れる姿勢や、新しい環境への適応力が身に付いたという。

■募集広告の「国際協力」にひかれて

ネパールでの経験がきっかけとなり、将来は海外に関係する仕事に就きたいと考えるようになった。国際協力――。NEDOの職員募集広告にこの4文字を見つけて、すぐに応募。「就職氷河期だったが、運よく採用が決まった」

本部の複数の部署や出向先である国連大学高等研究所での勤務を経て、入構9年目の2004年、バンコク事務所に次長として赴任した。NEDOで女性職員が海外に駐在するのは初めてだった。

アジアの統括拠点として東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国を含む17カ国を管轄するバンコク事務所でベトナムとフィリピン、ネパールを担当。バンコクを拠点にこれら3カ国を回る日々が続いた。当時ベトナムでベトナム政府と事業化調査を手掛けていた同国初の廃棄物処理発電所は16年に完成し、ビール工場の省エネルギー化モデルは隣国ラオスにも普及した。「担当していた事業の成果を見るたびに仕事へのやりがいを感じます」

■2度目の駐在は折り返し地点

帰任から10年近くたった18年、バンコク事務所長としてのオファーがあり、再びタイの地を踏んだ。初の女性所長ということで当初はプレッシャーもあったが、「『女性だから、男性だから』と性別にとらわれるのではなく、『私は私』と考えるようになった」。「NEDOで働く女性職員にもいろいろなチャンスがあるということを知ってもらえたら」と笑顔を見せる。

タイ駐在は2度目だが、業務面で同国とかかわるのは初めて。昨年9月には、電気・電子機器廃棄物リサイクルシステムの構築に向けてタイ工業省工場局(DIW)と実証事業に関する基本協定書を締結した。「1年半にわたり協定書の内容についてタイ政府と何度も話し合いを重ねてきたため、締結できたときの喜びはひとしおでした」。タイのほか、プロジェクトを実施するCLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)やインドネシアをはじめとする管轄地域に飛ぶことも多い。

所長の任期は3年で、折り返し地点を迎えた。「帰任までに新しいプロジェクトを立ち上げることが目標。立ち上げに至らなくても、新規プロジェクトにつながるような種をまいていきたい」。環境意識が高まりつつあるアジアで現地のニーズを見極め、日本の技術普及に向けて支援を続けていく。(タイ版編集・本田香織)


関連国・地域: タイ日本
関連業種: マクロ・統計・その他経済

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