酒といえば日本酒であるように、当地の飲食店ではティーと告げればチャイが、コーヒーとつぶやけば砂糖とミルク入りのインディアンコーヒーが出てくる。
気の利く店員なら「ティーというのはチャイのこと?紅茶のこと?」と確認してくるが、そんな幸運は多くない。そもそも紅茶やブラックコーヒーを扱わない店がけっこうある。注文時には「ここのコーヒーは砂糖とミルクの入ってないやつだよね」と念を押さなければならない。
この面倒なやりとりに拍車をかけるのが、当地特有の首をかしげるしぐさ。インドの人たちはイエスの気持ちを表すとき、首を軽く横に振る。外国人が「分からない」「さあね」と答える動きにそっくりだから「砂糖とミルクなしのコーヒーはないの?え、あるの?」と何度も聞き直すことに。最終的に注文と違うものが出てきても黙って飲むという身のこなしが、最近はすっかり板に付いた。(成)
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