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日本も歓迎、早く投資決断を 前大統領、スリランカ港湾開発で

スリランカのマヒンダ・ラジャパクサ前大統領がコロンボで26日、NNAとの単独会見に応じた。スリランカを「債務のわな」に陥れたといわれる中国の借款で完成したハンバントータ港の拡張や周辺開発についてラジャパクサ氏は、「(港湾以外にも)中国企業は既に投資の準備を開始している。日本も早く決断した方が良い。投資をしなければチャンスを失うだけだ」と述べ、インド洋の海上交通路(シーレーン)の要衝ハンバントータに日本企業がビジネスとしての関心を持つよう呼び掛けた。【遠藤堂太】

ラジャパクサ前大統領=26日、コロンボ(NNA撮影)

ラジャパクサ前大統領=26日、コロンボ(NNA撮影)

ラジャパクサ氏は、ハンバントータ港の拡張や周辺開発について、「港湾サービスや関連する製造業は中国だけに開かれたものではない」と強調。物流ハブ化や製造業、観光業などの分野で日本や韓国の企業も進出してほしいと述べた。しかし、既に中国企業は動き始めていると話し、「日本企業が投資をしなければ、チャンスを失うだけだ」と語った。

ラジャパクサ氏は2005~15年の大統領在任中、最大都市コロンボから南へ250キロメートル離れたハンバントータ港の開発を推進。しかし、同氏の開発政策への批判を強めたシリセナ氏が大統領選で勝ち、ハンバントータ港やコロンボ港周辺の中国企業による開発は1~2年ほど中断した。「現政権が工事をストップさせた。もし私の政権が継続していれば、ハンバントータへの高速道路や鉄道はもう完成しているはずだ。港湾も利益を出し、運営権を中国企業に移管する必要もなかった」と、現政権へのいら立ちをにじませた。

ハンバントータ港の第一期は中国の借款により10年に完成したが、17年8月に稼働率低迷による収益難から11億米ドル(約1,200億円)の債務を運営権として、スリランカ港湾庁が中国企業に売却した。これを引き合いにスリランカが「債務のわな」に陥っていると国際社会で言われていることについては、「(製造業などの)投資家にとっては関係ない」と断言。債務は中央政府予算とは異なる独立採算制の「スリランカ港湾庁」の問題であるとの見方を示した。

ラジャパクサ氏は港湾は国有財産であるべきという考えで、中国への運営権売却には反対の立場だ。「中国企業は99年間の港湾運営権の一部を得たのであって、土地を得たのではない」と強調する一方で、運営権は更新が可能だと付言し、「中国企業の運営が約200年(198年)になることもあり得る」とも指摘した。

ハンバントータ港の様子。広大な後背地があり、造船や工業用地の開発計画が進む。コロンボ港の混雑を緩和するためのコンテナターミナルや空港も活用した一大複合輸送拠点となる可能性も高い=23日(NNA撮影)

ハンバントータ港の様子。広大な後背地があり、造船や工業用地の開発計画が進む。コロンボ港の混雑を緩和するためのコンテナターミナルや空港も活用した一大複合輸送拠点となる可能性も高い=23日(NNA撮影)

ハンバントータ港が中国の軍事拠点になるのではないか、という懸念については、「メディアが誤った情報を流し世界に広まっている」と話す。「私の大統領在任中、中国からハンバントータを軍事拠点として利用するというオファーは一度たりともなかった」と明かした。

東海岸のトリンコマリー港に米国が軍事拠点を開設する計画があるとスリランカ紙で報じられていることについては、「(外国の軍事拠点を設ける話が出ること自体が)私が政権の座についていれば、あり得ない話だ」とコメント。「私はスリランカを第一に考え、どの国とも平和的に付き合う。(軍艦の寄港はあるが)他国の軍事拠点は設けない」と力強く訴えた。

<メモ>

■マヒンダ・ラジャパクサ前大統領

1945年11月生まれ。首相を経て2005~15年に大統領。1983年から続いていたタミル人と多数派で仏教徒が多いシンハリ人との内戦を2009年に終結させた功績からシンハリ人を中心に人気がある。3選を目指した15年1月の大統領選では、中国依存のインフラ開発を批判したシリセナ氏に僅差で敗北した。しかしシリセナ大統領は18年10月26日、ウィクラマシンハ首相を一時解任し、野党代表でかつての政敵であったラジャパクサ氏を首相に指名。12月16日には元の体制に戻ったものの、スリランカの政治が微妙な駆け引きの上にあることがうかがえる。

■ハンバントータ港、インド現代自が活用

ハンバントータの沖合は大型貨物船やオイルタンカーなどが1日200隻航行しており、シーレーンの重要な拠点だ。2010年に開港。現在は日本製中古車の輸入や、韓国の現代自動車がインド・チェンナイで生産された自動車を自走で積み込めるRORO船でいったんハンバントータ港まで運び、アフリカや中東などへの仕向け地へ再び積み込む拠点などに活用されている。


関連国・地域: 中国韓国インド日本スリランカ
関連業種: 自動車・二輪車運輸マクロ・統計・その他経済政治

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