【18年の10大ニュース】民主化から3年、試練の色濃く
アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相が率いる国民民主連盟(NLD)政権が船出して3年目を迎え、経済分野は「試練」の色合いが濃くなった。
15年度まで右肩上がりだった外国投資は、政権交代後の経済政策の滞りとイスラム教徒少数民族ロヒンギャ問題によるイメージダウンを背景に、前年を割り込んだ。内需の拡大などで、この先も年7%近い経済成長が見込まれる一方、インフラ整備の遅れや不透明な行政手続きなど足元の課題は依然残る。政権は、能力不足とされた経済閣僚を交代、投資を主管する新省も設立して、事態打開へアクセルを踏む。
ロヒンギャ問題では、予定された帰還が進まず、スー・チー氏への国際的な非難が高まった。欧州連合(EU)は繊維産業を成長させてきた一般特恵関税制度(GSP)の停止を含む経済制裁を検討するなど圧力を強めている。
2019年は、翌20年に総選挙を控える「プレ選挙年」。緒に就いたばかりの経済改革を軌道に乗せ、難民問題で国際社会と国民の双方を納得させる着地点を見つけなければ、政権の基盤は大きく揺らぎかねない。