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【17年の10大ニュース】揺れながらも改革を進める蔡政権

「台湾人は問題解決の4文字を期待して新しい政権を選んだ」――。2016年5月の就任演説で、蔡英文総統は人々にそう呼び掛けた。
蔡政権が2年目に入った今年、台湾はどうなったか。主力の電子産業を中心に輸出が好調で、経済成長率は2%台を回復。株価も高値で推移している。ただ、就任演説で「最も重視したい」と語った若年層の低賃金労働の問題は今も変わらず、市民はまだ景気回復の恩恵を感じることができないでいる。
労働環境の改善をもくろんだ労働基準法の改正は労使双方から批判を浴び、再度の見直しを余儀なくされた。25年までに脱原発を目指すエネルギー政策も、経済成長と環境保護とのはざまで揺れる。
外に目を向けると中国との対話は中断したまま。パナマに断交されるなど外交圧力も強まっている。
それでも9月に行政院長(首相)に就任した次世代のホープ、頼清徳氏が徐々に存在感を示し、聖域だった公務員年金の改革のように解決のめどが見えてきたものもある。
「任期中に根本的な構造から問題を一つ一つ解決していく」。これも就任式での蔡総統の言葉だ。その言葉は信じてよいものか、3年目を見守りたい。