【アジアで会う】桑原芳忠さん 細田貿易タイ法人代表 第179回 部品供給で製造業後押し(ミャンマー)

くわばら・よしただ 1971年生まれ。大阪府大阪市出身。95年創価大経済学部卒、在学中の92年にタイのタマサート大に1年間留学した。97年細田貿易(大阪市)に入社し営業一部に所属した後、タイ法人マネジャー、本社の営業課長を歴任。2012年ホソダ・インターナショナル(タイ)代表、16年9月からホソダ・タイランドのマネージング・ディレクター

電気関連の材料やケミカル、機械を扱う専門商社のタイ法人トップとして、ミャンマーやカンボジア、ラオスなどメコン地域5カ国で、日系企業の部品調達を後押ししている。近年は周辺国で活発化する日系の工場進出に狙いを付け、換気扇や電気ケーブル、照明器具など設備機器の製造用部品で売上高を伸ばし始めた。

インターネットの台頭で簡単に情報が入手できるようになり、企業の商品選別の目は厳しさを増す。一足先に発展したタイでは企業間の取引関係が成熟し、新たな顧客獲得は簡単ではない。

「大手企業に連ならない、独立系商社ならではの間口の広さと機動性の高さを生かしたい」。後発のメコン地域各国の企業を結び、事業拡大につなげようと挑戦を続けている。

■いかに生きるか模索

学生時代はアジア経済学を専攻。特に1950年代からのカンボジアのシアヌーク国王時代や、ポル・ポト政権下での経済情勢を研究した。だが当時は同国の政情が不安定。距離的に近い隣国のタイに1年間、留学することにした。

タイの文化に触れ「ゆっくり人生を楽しむ生き方がある」と感化され、就職活動をしないまま大学を卒業。地元に帰りアルバイトを繰り返した。だが、26歳になり、定職に就かなければという危機感も感じていた。公共職業安定所で紹介された細田貿易の面接試験を受けると、タイで勤務経験のある当時の社長が面接官に。双方ともに決断は早く、翌日からの勤務が決まった。

「もともと人との会話が好きだから商社が合っていた。チャンスをくれた会社に感謝している」。入社後は電気と貿易の本を片手に、商品知識を身に付け、運賃や保険、通関費用など貿易の基礎を習得。入社4年目で、タイ勤務の辞令を受けた。

■タイで商社マンとして奔走

2000年に赴任した当時のタイ法人は、日本から商品を輸入して日系タイ法人に販売する仕事がほとんど。ただ取引先を回るうち、1997年のアジア通貨危機を契機に、多くが地元での調達比率を上げ、輸送費と仕入価格を抑えようと模索していることに気付いた。

タマサート大留学時代、タイ教育省のタイ語能力判定試験(当時ポーホック)に合格し、語学面で障壁はなかった。タイ人従業員と電話帳を基にした営業で地場企業を開拓。自ら日系企業を工場に連れて行き、品質を確認してもらうなどの手法で、取引を成立させた。

「商社の仕事では人間関係が重要。一つずつ企業の要望に応えることで信用され、新たな需要を引き出すこともできる」。

手掛けた部材は多様で、ステンレス魔法瓶に使用する塗料、もちつき機の胴体の塗装鋼板や金型を削る放電加工機の各種部材など。

本社のサポートもあり事業拡大に成功したタイ法人では2002年から直近の16年まで毎年、最終利益を計上し続けている。

■法人トップの責任とは

08年に本社勤務に戻り、貿易の基本を洗い直した。梱包の仕方や箱の形状にこだわり、いかに効率的に商品を運ぶかを検討。輸出に関わる費用を厳密に計算し、利益管理を徹底した。

12年に再びタイ勤務を命じられた。メコン地域のビジネス環境が変わる中、11年に民政移管して間もないミャンマーに新たな市場を求めた。「大手商社が参入する前で、早いほど良いと考えた」。出張ベースで日系企業の工場設立の動きを捉え、設備機器の部品を納入する機会をつかんだ。

16年にはミャンマーでの売上高が1億円を超え、商売のベースとなる取引先との人間関係も深まってきた。カンボジアやラオスで同様の取引を広げようと動いている。

現在はタイ法人トップとして、日本人4人、タイ人19人をまとめる立場にある。「1日4社回り、レポートと見積書を書いて、とにかく走りまわっていた」と振り返る前回のタイ勤務とは異なり、周囲を見渡すようになった。

「部下からメールで報告を受ける仕組みになっているが、きちんと話を聞いて問題を把握し、助言するよう心掛けている。個人よりも会社として成果を上げることが求められているから」。細田貿易は今年で創立90周年。社員の育成に力を入れつつ、形が見えてきたメコン地域での事業確立を目指す。(ミャンマー版編集・佐々木琢磨)


関連国・地域: タイミャンマー日本
関連業種: IT・通信電機製造一般商業・サービス社会・事件

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