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【アジアで会う】高木美穂さん MUJIシンガポール・マレーシア社長 第167回 無印ブランドを世界に発信したい(シンガポール)

たかぎ・みほ 京都府出身。関西の音楽大学を卒業後、日本で音楽関連の仕事に就いていたが、日本国外で働きたいと考え、音楽教師として海外に2年間赴任。日本に帰国後の2001年に生活用品店「無印良品」を運営する良品計画に入社。海外事業部、MUJIイタリア現法社長、販売部東京西エリアマネジャーなどを経て現職。週末は散歩するのが楽しみ。

良品計画へ入社する前に「MUJI」の存在を強く意識するようになったのは、海外で生活していた時だった。現地の友人が持っていた無印良品の商品を見て、「海外で幅広く事業展開しているすごい日本企業がある」と感じた。日本に帰国後、無印良品のホームページを見るとちょうど店長候補の求人が出ていた。小売業での就業経験はなかったが、顧客の需要が日々変化し、結果がすぐに分かる仕事に魅力を感じて早速応募した。積極的な海外展開戦略に「頑張ればこれまでの体験が海外で生かせる」という期待もあった。

入社1年後には店長、その1年後には大型旗艦店である有楽町店のフロアマネジャーに就任し、着実にキャリアを重ねていく。4年目には海外店舗の運営を日本から支援する海外事業部に異動。韓国、台湾、香港など当時進出したばかりのアジア市場を中心に担当した。2005年に良品計画が中国1号店を出した際には、月の半分は中国に出張して出店準備に奔走。同国に日本の小売企業が本格進出した初の事例だったため、現地の諸手続きなど戸惑うことも多かった。だがこうした経験がその後、海外で現法社長として手腕を振るう上で役立つことになる。

■伊で社長職の重みを実感

海外事業部で身に付けた経験を生かせる好機はすぐにやってきた。08年にイタリア現法の社長に就任したのだ。赴任時に同国で4つだった店舗数は、滞在中の5年半で9店と約2倍に拡大した。現地でビジネスを進める上で優先したのは地元の言葉、つまりイタリア語を覚えること。「現地の言葉でコミュニケーションを取ることで、良い関係を作りやすくなりました」。また社長職に就いたことで、「従業員の生活に全責任を負っている」という重みを初めて実感した。

14年に日本に戻り、東京のエリアマネジャーとして店舗の出店、運営、営業などを総合的に支援する役割を担う。日本でも最先端の店舗運営業務を真っ先に取り入れる地域だ。こうした業務は将来海外への移管が見込まれており、東京で最新の事業ノウハウを身に付けることができた。

日本と欧州の両方で経験を積んだ後、今年2月にMUJIシンガポール、MUJIマレーシアの社長に就任した。欧州とアジアでは、MUJIに対する消費者のイメージが異なると高木さんは話す。成熟した生活様式を持つ欧州では、MUJIのコンセプトに共鳴した上でさらに生活を豊かにする要素として捉えられている一方、アジアでは「日本のモノ」という理由で購入する人が多い。ただ最新情報に敏感なシンガポールはアジアの中でも消費者の意識が成熟しつつある。03年の同国1号店出店時と比べて「シンプルで美しい商品」「安全・安心」「省資源」といったMUJIの理念に共感してくれる人が増えていると感じる。「シンガポールでは当社の事業と消費者の意識が一緒に育っているという感覚がある。所得水準や教育レベルも高く、チャンスに恵まれた場所。域内の中心地にあり情報発信しやすいことから、MUJIブランドを世界に知ってもらう上で重要な市場」と位置付けている。

7月には、シンガポールの繁華街に東南アジア最大規模の旗艦店をオープンさせるという大プロジェクトを達成した。ただ高木さんは「シンガポールはビジネスを進めるのが何事もスムーズで効率的。特に大きな苦労は感じなかった」と笑う。

もう一つの担当地域であるマレーシアは、国土が広く地域ごとに所得格差があるため、経済的に発展しているクアラルンプール首都圏に店舗が集中している。「マレーシアでは消費者が求めているものの一歩先をいくコンセプトを提示している。MUJIの考えを受け入れてもらえる環境が整ったら他の地域にも出店したい。今は市場が成熟するのを待っている時期」だという。

■最先端モデル移管に最適な場所

シンガポールには11店を出しているが、「チャンスが大きい市場なのでまずは1年に1店舗のペースで出店を続けたい」と意気込む。今後は東京のエリアマネジャー時代に携わった最新の店舗運営業務をパッケージ化し海外に移管していくことが重要で、シンガポールはその移管先として最適な場所と考える。「物流システムの効率化や人材育成など取り組むべき課題はたくさんある」と語る高木さん。シンガポール、マレーシア市場の潜在的成長性に熱い期待を寄せている。(シンガポール&ASEAN版編集部・清水美雪)


関連国・地域: シンガポール日本
関連業種: マクロ・統計・その他経済

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