2020年5月の第1位は、インドネシア発の記事「首都州域外の移動制限を強化 知事令公布、レバラン帰省を抑制」でした。新型コロナウイルス感染症の拡大抑制のため、3月からアジア各国・地域が実施していた移動制限やロックダウンが5月から段階的に緩和されつつあるものの、一部で制限を強化する動きもあるなど、それぞれの具体的な対応策に注目が集まっています。
記事一覧
- 第1位 【インドネシア】首都州域外の移動制限を強化 知事令公布、レバラン帰省を抑制
- 第2位 【シンガポール】6月2日から職場閉鎖を解除 3段階に分け、在宅勤務は継続
- 第3位 【ASEAN】社会に傷跡、復興遠く 東南ア、海図なき再起動(上)
- 第4位 【ベトナム】特別入国の68邦人の隔離終了 ビジネス渡航難航、先行き見えず
- 第5位 【タイ】非常事態宣言を1カ月再延長 警戒維持、近く追加の制限緩和も
- 第6位 【フィリピン】首都圏などの外出制限、6月1日から緩和
- 第7位 【中国】日系企業77%が社外営業再開 リスク管理に腐心、出張は慎重
- 第8位 【日本】【新型コロナアンケート】コロナで「上期は減収」8割 アジア日系企業、インドは97%に
- 第9位 【マレーシア】条件付き活動制限令、6月9日まで延長
- 第10位 【香港】中国、香港に直轄治安機関 全人代、国家安全法制定へ
インドネシアの首都ジャカルタ特別州のアニス知事は15日、新型コロナウイルスの感染拡大を予防するため、ジャカルタ内外などへの移動を制限すると発表した。中央政府が今月初旬に実施した移動制限を強化・明確化した形で、イスラム教の断食明け大祭(レバラン、今年は24~25日)期間の帰省による感染拡大の防止を図る。
シンガポール政府は19日夜、新型コロナウイルスの感染対策として実施している、職場や学校を閉鎖する措置「サーキットブレーカー」を6月1日で終了すると発表した。2日から3段階に分けて経済・社会活動の制限を解除していく。まず製造、物流、金融など一部の産業で職場での勤務を認め、状況を見ながら対象を拡大する計画だ。ただ基本的に在宅勤務の継続を求めるため、企業は引き続き労務管理などの対応に追われそうだ。
東南アジアの一部の国で、移動などの制限の緩和が始まった。新型コロナウイルスの新規感染者の減少に伴い、封じ込めから経済の再起動へと重心を移す。道しるべのない「ポストコロナ」に動き出したその足取りに、パンデミック(世界的大流行)で社会が負った後遺症がのしかかる。
国内経済活動の正常化が進むベトナムで、次なる焦点は外国人の入国だ。新型コロナウイルスの感染拡大で一時日本に帰国中だった在ベトナム日本人駐在員などの特別入国が始まったものの、入国者数は少なく、先行きも見えない。第1弾として、今月9日に入国したのは68人。週末に2週間の隔離を終えた。ベトナム政府は入国制限を緩和させる方向で検討に入っている。
タイ政府は26日の閣議で、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための非常事態宣言を6月末まで再延長することを決めた。3月26日に発令し、当初は4月末までの予定だったが、期限を5月末に延長していた。新規感染者数は連日1桁台で推移しているものの、段階的に経済活動の制限を緩和する中で流行の第2波を防ぐために再延長が必要と判断した。近く制限緩和の第3弾を実施する方針で、29日に詰めの協議をする。
フィリピンのドゥテルテ大統領は28日夜、マニラ首都圏などで実施している厳格な外出・移動制限措置を6月1日から緩和すると表明した。新型コロナウイルスの感染者数は増加し続けているものの、一定の範囲で抑え込みができていると判断した。首都圏では2カ月半にわたり、外出や移動が厳しく制限されてきた。今後は段階的に、経済活動の再開に軸足を移していく。
中国各地で新型コロナウイルスに伴う企業の臨時休業措置が解除され、操業再開が呼び掛けられた2月10日から3カ月がたった。中国国内の感染は収束に向かい、経済活動も正常化しつつある一方で、人流のコントロールを中心とする政府の防疫対策は今も続いている。NNAが実施したアンケートでは、既に77%の日系企業が日常的な社外営業を再開しつつも、感染リスクの管理に腐心している状況が浮かび上がった。
新型コロナウイルス感染症の流行は、アジアの日系企業各社の業績に大きな影を落としている。2020年1~6月期(上半期)の売上高が前年同期に比べ「減収になる」とみている企業は8割近くに上ることが、NNAが駐在員を対象に実施した調査で分かった。特にインドは97%もの企業が減収を見込んでいる。各国・地域とも販売減や受注減、生産停止などが主な理由で、減収幅は「20~30%未満」が最も多かった。新型コロナの流行により、既に投資計画、採用計画を変更したとの回答もそれぞれ15%程度あった。
マレーシアのムヒディン首相は10日、テレビ演説を行い、条件付き活動制限令を6月9日まで4週間延長すると発表した。政府は、新型コロナウイルス抑え込みのために3月18日から実施している活動制限令を今月4日から「条件付き」とし、大半の経済活動の再開を認めたが、社会や企業に新型コロナ対策の標準作業手順書(SOP)の順守を義務付け、州をまたぐ移動は認めていない。
中国は22日に開幕した第13期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第3回会議で、香港に適用する「国家安全法」を制定すると発表した。国の安全を脅かす行為などを取り締まることを目的としており、中央政府が香港に治安維持のための機構を設置し、同法の執行に関わる方向性を示した。香港立法会(議会)での審議を経ず、頭越しの法制化に踏み出したことで、複数の専門家から「『一国二制度』の形骸化が進む」との懸念が出ている。