2003/02/18

第60回 上海力至優叉車製造<ニチユ>、フォークリフト、バッテリーでシェア拡大



作業場のなかを、音もなくフォークリフトが軽やかに走り回る。重い荷物を持ち上げ、所定の場所にぴたりと置く。経済発展の著しい中国で、注目の成長分野である物流業界。その担い手であるフォークリフトも年間30%で需要拡大している成長株だ。上海力至優叉車製造(上海ニチユ)は環境にやさしいバッテリータイプで、シェア拡大を狙う。

 工場風景

上海でも特に外資企業が集まる松江工業区の余山分区に上海ニチユはある。観光スポットである余山旅遊区に隣接する同区は、まだ進出企業が少なく、自然豊かな環境にある。そののどかな印象とは異なり、上海市街地から車で30分余りという好立地条件を持つ。ニチユの上海進出は綿密な調査を重ね、慎重に行われた。 1987年に生産拠点として初めての海外進出のため全国各地を回り、上海の地場フォークリフトメーカーとの話しがまとまった矢先、天安門事件が発生。全てが白紙となった。そして97年、満を持しての海外事業再開となった。調査で集めた失敗談を分析し、経済発展の著しい上海に決めた。名目上の合弁相手との工場設立が決まった。

■足で求めた現調先

「通訳と二人で汽車に乗り、全国を回りましたよ」。同社の友村和弘総経理は、資材調達先を探して走り回った、99年3月操業までの1年間を振り返る。当初、技術的な知識に欠ける通訳に対し、駅弁をかきこみながら、列車での移動時間を利用した研修が続けられた。訪問先は様々なルートから探った。

友村和弘総経理

イエローページで見かけて飛び込んだタイヤメーカーは、操業当時から今でもつきあいが続いている。「工場に入るなり、いける!だめだ、と直感でわかります」という友村総経理の技術屋の勘で集めた調達先で、今では現地調達率は金額ベースで40%に達している。フォークリフトの命であるバッテリーは日本からの輸入に頼っていたが、メーカーが中国進出したことで現調率アップによるコストダウンに大きな期待がかかる。

「中国は安い」という日本からの思い込みは、往々にして現実と異なる。部品によってはあるレベルの品質を求めれば、価格が日本と同等になることは珍しくない。また、購買ロットが少なければ、受注してもらえない場合も多い。地場の安い製品と競争していくには、今後、同業者での共同購買や部品共通化など企業の枠を超えた業務提携を進める必要がありそうだ。

従業員募集は「国有企業出身、経験者を除く」という一貫したポリシーで採用。若い人材を白紙から育てることで、安定した人事環境を作り上げた。自宅から通勤する環境にあることからもその安定率は高い。

■溶接技術は日本以上

同社の主要製品はバッテリー式カウンターバランス型フォークリフトの1~3トンの6シリーズ。工場の中央には縦に、フレーム溶接組み立て、マスト枠溶接組み立て、車体組み立ての大きく3ラインが並ぶ。溶接された各部品はショットブラスト設備にかけ、表面のさびを落とし凹凸をなくす。現地調達部品の品質面から、同工程にかける部品点数は日本より多くなっている。

工場の入り口から右の壁沿いには輸入資材置き場、部品検査など、左の壁際にはブレーキ装置やハンドルなどのサブ組み立て場、完成車検査場、正面奥には塗装ブースが整然と並ぶ。部品を手にとり、溶接部分を見せながら友村総経理は「溶接の出来栄えは日本以上。品質には絶対の自信がありますね」と胸を張る。

2002年のフォークリフト需要は3万5000台。うち85%をエンジン式が占めている。同社は今年、現在の製品に加え、欧州向けの塩性の高い水産仕様タイプや日本で主流のリーチ型をラインナップに加える予定。中国市場も日本と同様に、環境にやさしいバッテリー式へ買い替えする傾向にあることを追い風に、得意のバッテリー式で、今年の販売目標は昨年比50%増の900台を目指す。

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