インドネシア 2010年8月18日(水曜日)
大統領 世界経済で存在感を:独立記念演説、強国へ岐路[経済]
ユドヨノ大統領は16日、独立記念日前の国会演説を行った。大統領は、インドネシアの国際的な地位が向上し、競争力が増していると語り、徐々にグローバル経済の一端を担うようになるべきだと国内経済への自信を強調した。一方で、アジアの強国として地位を向上させるか、ぜい弱な民主主義に陥るのかの岐路に立っており、国際化に向け挙国一致を求めた。
大統領は、インドネシアが内弁慶ではなく、世界的なステージで競争力を備えていると演説。改革の速度について「歩くのではなく走り始めなければならない」と訴えた。
第2次ユドヨノ政権の100日政策で特定したボトルネックを解消する必要があるとの見解を示している。ただ、「民主主義が陥りやすい」短期的な成果を目指すのではなく、長期的な方向性に基づいた開発計画を実行すると強調した。
世界的な地位の向上を示す指標として、世界的な不況の昨年に実質国内総生産(GDP)成長率が4.5%に達し、主要20カ国(G20)中で中国、インドに次ぐ実績をあげたことや、民主主義が浸透していること、世界の地域紛争が多発するなかにあって国内が平和に保たれていることを挙げた。
ただ、国内の課題は多く複雑になっていると指摘。分野別政策の優先項目として、▽インフラ整備▽投資・事業環境整備▽エネルギー安全保障▽環境配慮▽防災▽へき地・紛争後地区の開発▽文化・技術革新――を掲げた。
これらを実施するために国家開発優先政策の加速と司法に基づく開発計画の2大統領令を発布したと説明している。
■インフラ整備に不満
昨年の独立記念日を控えた国会演説で語った「改革の第2の波」を続ける必要性を強調し、官僚機構改革やインフラ整備、民主主義の定着、地方分権の推進、司法マフィアの撲滅を「宿題」と提示した。
官僚機構改革を継続的に進めることで、責任ある透明度の高い制度の実現に意欲を示した。インフラ整備の進ちょくについては、現状に満足していないと強調。毎年必要な多額の資金をどのように調達するかが大きな課題と述べ、法的確実性、投資環境の改善を続けることで、資金の獲得につなげたいと期待を表明した。民主主義の浸透と地方分権の推進は、清潔な政府を実現するために手段ととらえており、司法マフィアは政府の各機関にみられるとの認識を示した。
大統領の直轄機関として設置した司法マフィア撲滅特別チームについては、将来的に活動を引き継ぐ機関を設立する意向を表明している。大統領の支援姿勢に疑問が呈されている汚職撲滅運動については、優先政策であり続け効果を上げ続けなければならないと語った。ただ具体的な方策は示さなかった。
■「文明の調和」目指す
外交については、全方位外交を継続し、東南アジア諸国連合(ASEAN)を通じた地域の安定と、G20を通じた世界の経済的な構造改革と持続的な成長支援に関与していくと語った。またイスラム社会と西洋社会との架け橋となり得ると強調。イスラムと西洋による「文明の衝突」との見方に対し、21世紀の「文明の調和」に貢献することが可能との姿勢を示した。
グローバル化の中にあって、インドネシアが世界の事象に関与していく必要があると述べ、製品、文化、思想などで世界の中に役割を求めていくと述べた。その中にあって、国家の利益を反映した外交の軸を持つ必要があると指摘した。
内政については、現状の大統領制と多政党制議会が機能するためには、健全で貢献的な政治システムを基礎とした大統領制でなければならないとの認識を提示。多政党の民主主義が改善され、「民主主義の実現だけではなく、効果的な政治プロセスを生み出す必要がある」と強調した。政党に対し政府を支援するように要請している。
今回の演説は、スハルト政権崩壊後で初めてとなる、国会と地方代表議会(DPD)を合わせて同時に実施した。昨年までは、各議会で別の日に演説するのが慣例で、大統領は両議会の協力を評価している。