ハノイ都市・鉄道計画が完成:JICAが報告会(前)

国際協力機構(JICA)とハノイ市が協力した鉄道沿線整備計画の最終報告書案が完成し、報告会が開催された。JICAが官民パートナーシップ(PPP)形式による駅前開発や駅と郊外の新都市を結ぶフィーダー(接続)バスの導入などを、円借款事業として進めるハノイの1・2号線で提案している。一方、本体工事とともに、官民一体の都市開発や法整備をどう進めるのか、ベトナムにとっては待ったなしの状況であることが浮き彫りになった。【遠藤堂太】

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■首相決定、JICA調査で

2008年にグエン・タン・ズン首相が承認した5路線を建設する都市鉄道整備計画はJICAの提案が反映され、1・2号線は日本の政府開発援助(ОDA)による建設が決まった。鉄道建設を都市計画と一体的な開発に昇華させる目的でJICAは「ハノイ市の都市鉄道(UMRT)建設と一体となった都市開発整備計画調査」を今回まとめた。

郊外への人口流出など長期的な都市構造の変化や、バイク依存から鉄道を含む公共交通へのシフトのあり方、駅前開発などが盛り込まれている。

現在、1号線は設計がまもなく終わる段階で、2号線は設計コンサルタントの業者選定が行われている。

■統一公園駅、PPPモデル

南北統一鉄道に並行する1号線のトンニャット(統一)公園駅(高架)と2号線のバッコア駅(地下)が交差するターミナル。遊歩道、商業・住宅がPPPで建設される。駅前にはハノイ工科大学があるが、「民」が商業・娯楽・住宅・一部の道路を駅前で建設し、「官」が駅前バス停や地下を含む歩道の整備や、住民移転問題に対処する提案だ。

立ち退き移転者用の新都市区を1号線沿線に建設することや、提供用地に応じて民間企業が開発した高層住宅に住む権利を保障されることなどが提案されたが、本格的な駅前開発の経験がないベトナムでは調整の難航も予想される。

実際、トンニャット公園駅が建設されるキムリエン交差点には円借款事業で地下自動車道が昨年に完成したが、土地収用や地下埋設物を行政が把握していないことで工期が大幅に長引いた。ベトナムの決済機関が排水ポンプの購入を認めなかったため、開通式当日に浸水した事件が発生するなど、行政同士の横の連携もない。同時並行で官民が取り組むため課題が、ベトナムに山積していることを示している。

トンニャット公園駅に乗り入れる1・2号線とも日本が支援する。だが、1号線のハノイ駅(中央駅)は、フランスが支援する3号線(地下)と接続する。「1~2号線は日本、3号線はフランスと丸投げしてしまうベトナムの体制で、調整が進むのか心配だ」と、ある建設コンサルタントの参加者は明かす。また、地下空間利用の法的整備の遅れを危惧する声も会場からはあがった。

■空港アクセスも

2号線は旅客需要が高まればハノイ・ノイバイ空港まで延伸される。それまでの暫定的な措置として、ホータイ(西湖)近くのタイ・ホータイ駅にシティー・エアターミナル(CAT)を開設してバス連絡とする構想だ。同駅からの空港連絡バスは、円借款供与で整備中のニャッタン橋やノイバイ空港までの自動車道を経由する。

タイ・ホータイ駅はハノイ北西近郊の住民のバスから鉄道への乗換ターミナルとしても機能させる。バス路線は、郊外から都心部に集中乗り入れる現状を改め、郊外の鉄道駅と住宅地を結ぶフィーダー輸送に徹するよう求める。そのモデルとしては、日本のつくばエクスプレスや田園都市線沿線などが挙げられている。

■一元的な管理を

調査をまとめているアルメック(東京・目黒)の岩田鎮夫取締役は報告会で、事業主体が1号線はベトナム鉄道総公社(VR)、2号線はハノイ市人民委であることや、都市開発管理の機関と鉄道管理の機関が別組織であることが円滑な計画遂行の支障になる可能性を指摘した。そのうえで、以下の提言を行った。◇PPPや鉄道沿線開発を一元的に計画・管理・実行するワンストップ機能の委員会の設置◇PPP開発モデル駅を選定する(トンニャット公園駅など)◇南方面行きのザップバップバスターミナルの移転やフィーダーバスの充実による市内路線バス網の再編◇駅前開発などPPPでのОDA・ベトナム・民間企業の分担の明確化◇民間企業の収益性と住民の便益確保の両立を目指す指針の策定◇民間事業者が参入しやすい環境整備──など。(後編に続く)

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関連国・地域: ベトナム
関連業種: 建設・不動産運輸・倉庫

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