日豪、水素船航行基準で覚書 世界初の実証船就航にらみ

日本の国土交通省とオーストラリア海事安全局(AMSA)は11日、オーストラリアのキャンベラで、両国が策定し国際海事機関(IMO)が承認した、世界初の液化水素運搬船の安全基準や航行手順の暫定規制を確認する覚書に署名した。これにより、2020年に就航予定で世界初の実証実験用「液化水素ばら積み運搬船」の航行が、法制面で一歩前進する。今後は、両国が国内法規に従って関連規制の詳細を詰めていく。【NNA豪州編集部】

AMSAで開かれた署名式では、国土交通省海事局検査測度課の伊藤真澄・危険物輸送対策室長と、AMSAのアレックス・シュルツ・アルトマン船舶検査・登録課長が覚書に署名した。また、オブザーバーとして、海上技術安全研究所の太田進・国際連携センター長や川崎重工業の関係者、日本海事協会の関係者らが出席した。

覚書で確認された内容は、液化水素の超低温にも耐え得る構造や材料を使ったタンクに関する規定、材料が水素を吸収することで劣化することから強度を確保するための材料の指定、配管からの漏えいを防ぐための規定、火災発生時の対処など。

■5年前から検討

国土交通省によれば、液化水素ばら積み運搬船の就航は世界初の試みで、運航や船体の設計などにかかわる安全基準の策定が特別に必要となり、川崎重工との協力により5年前から基準の検討を進めていた。

その後、「運搬船の船籍国」と「荷揚げ国」である日本と、「荷積み国」であるオーストラリアの当局は、液化ガスを運搬するための既存の国際ガスキャリアコード(IGCコード)をたたき台とした上で、液化水素の運搬にふさわしい安全要件の暫定案を約2年をかけて策定した。

国土交通省の関係者はNNA豪州に対し、「IMOの承認後、できるだけ早く日豪当局が規制を公式に確認する必要があった」と述べた。

■神戸市にターミナル設置

今回、日豪当局が確認した安全基準は、川崎重工がビクトリア州で褐炭を利用する液化水素の生産・供給計画を踏まえたもの。

同社は岩谷産業やJパワー、石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルの日本子会社シェルジャパンと技術研究組合を構成している。20年に就航予定の実証船は、川崎重工の神戸造船所で18年以降から建造される。同研究組合が所有することから船籍は日本となるが、運用はシェルが行う予定だ。

実証船が利用する液化水素用ターミナルは、水素の利用に理解のある兵庫県神戸市で19/20年度(19年4月~20年3月)に設置予定。同年度中にオーストラリアに向けて初航海を実施する計画だ。

水素を利用した発電所の導入など、水素利用の拡大が見込める25~30年には、液化水素を運搬する商用船が実用化されると期待されている。

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国土交通省の伊藤真澄・危険物輸送対策室長(右)が覚書に署名した(NNA豪州)


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