《インドネシア最新事情(上)》魅力増す消費市場

インドネシアは、消費市場としての魅力が高まっている。数年前の好景気に伴う賃金の大幅な増加で国民の購買力が上がり、世界4位の人口を抱える経済国の存在感が増しているためだ。11月24日に東京で、三井住友銀行とインドネシア投資調整庁(BKPM)が主催、エヌ・エヌ・エーが後援して開催されたセミナー「どう見るインドネシア―最新事情」では、今年8月まで6年近くインドネシアに滞在し、経済活動を報道してきたエヌ・エヌ・エーの久保英樹氏が、現地の消費市場を解説した。

久保氏は、まずマクロ経済指標から見る消費市場について説明。2億5,000万人の国民のうち首都ジャカルタに1,000万人が居住し、周辺を含む首都圏を合わせると総人口の1割超となる3,000万人近くが集中することで、日本の関東に次ぐ大都市圏を形成していると強調した。

国民の平均年齢は29歳と若く、生産年齢人口が5割を超える「人口ボーナス期」が2030年まで続く見通しのため、引き続き高い経済成長が期待できると解説。中間所得層の大幅な上積みが見込まれており、消費市場の飛躍的な拡大が予想されていると指摘した。

国民一人当たりの国内総生産(GDP)成長率は、2011年に耐久消費財の販売が拡大する目安となる年間3,000米ドル(35万円)を突破し、実際に同時期に自動車や家電の売り上げが大きく伸びた。首都ジャカルタや第2都市の東ジャワ州スラバヤは約1万米ドルと中進国並みで、購買力がさらに高い。

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ジャカルタの最低賃金の推移

高卒ワーカーの初任給の水準といわれる最低賃金は、首都ジャカルタで17年に336万ルピア(約3万円)となり、7年間で3倍に膨れ上がったことを紹介。他地域も同様の割合で上昇したほか、残業代やダブルペイ(インドネシアでは宗教手当)、賞与など含むと実際の賃金水準は2~3倍になることも珍しくなく、国民が着実に所得を増やしているという。

■高額商品の消費拡大

久保氏は続いて、主要分野別の市場動向を紹介した。サプライヤーを含めて進出している日系企業が多い自動車分野では、四輪が12年に100万台を超えて現在は東南アジア最大の市場となり、二輪が11年に800万台に到達して世界3位の規模であると紹介。現行はローン規制や経済停滞の影響で伸び悩んでいるが、引き続き成長の余地がある。

メーカー別では、日本勢が四輪で98%、二輪で99%と市場を独占していると説明。四輪ではトヨタ自動車、二輪ではホンダの存在感が高いことを、データを交えながら解説した。

家電・電子機器市場は、東南アジア諸国連合(ASEAN)最大の市場であることを強調。15年は景気停滞で数年ぶりにマイナス成長となったが、白物家電はプラス成長を維持しており、需要は底堅い。

メーカー別では、家電で日韓勢が市場を分け合い、携帯電話で韓国サムスンが首位。ただ、最近では中国メーカーが家電、携帯ともに攻勢をかけて存在感を増していることを示した。

住宅は一戸建て信仰が根強いが、都心部では地価高騰で物件価格が数年前から2倍以上に跳ね上がっているため、高層アパートに需要がシフトしていると指摘。高品質な住居に対する関心が高まり、日本の不動産開発業者や建材メーカーが市場を取り込もうとする動きが活性化している。

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スーパー棚に並ぶ高価格帯の即席麺(ジャカルタ)

小売りの分野では、軒先の日用雑貨店や生鮮市場といった「伝統市場」からスーパー、コンビニなどの「近代小売店」へと出向く消費者が増えているほか、高価格帯製品の販売が増加していることから、品質で勝負する日本企業にとって商機が生まれていると強調した。

一例として、パンの販売が拡大しているほか、おむつや即席麺でより高額な製品を投入する企業が増えているとした。

■多様な消費形態、ハラル対応も視野

久保氏は最後に、現地の中間所得層を家計簿と消費財の事例を交えながら紹介。スマートフォンの2台持ちが普通となっているほか、化粧品や日用品は欧米メーカーが中心であること、共働きや家族と暮らす習慣が多いため個人所得はそれほど高くなくても自動車や二輪車を保有していることを解説した。

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地場生命保険会社に勤めるリズキーさん(36歳、右から2番目)一家

家計支出は、食費が最大の割合を占める世帯が多いものの、医療費や民間保険料、家政婦への給与、海外旅行費など、所得や家庭環境、嗜好(しこう)によって、さまざま消費形態があると指摘。イスラム教徒が世界で最も多いため、ハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)対応しておけば、他のイスラム教国への製品や店舗の横展開が可能と強調した。


関連国・地域: インドネシア日本
関連業種: 経済一般・統計食品・飲料商業・サービス建設・不動産社会・事件雇用・労務

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