サイボウズ、豪州市場進出 青野社長「クラウドで企業開拓」

インターネット用ソフトウエアの開発・販売を手掛けるサイボウズ(東京都中央区)が今年、オーストラリア市場の開拓を開始した。日本国内ではグループウェアのトップベンダーとしての地位を確立し、子会社を中国やベトナム、米国に置くなど、国内外で事業を拡大している。来豪した青野慶久・代表取締役社長に今後の見通しを聞いた。【NNA豪州編集部】

――オーストラリア市場に進出したのにはどんな背景がありますか

中国でビジネスが順調にいき、米国でも手ごたえを得ていて、その中で次にいける場所はどこかと検討した時に、オーストラリア、特にシドニーが進出できる場所ではないかと考えました。

英語圏で自社のソフトウエアをそのまま展開できること。日本との時差が少ないので、サポートがしやすいこと。ITの先進度が高いので、クラウドが受け入れてもらえやすい環境であること。起業や在宅勤務が浸透していること。また、人件費が上がってきているので、組織のマネジメント分野にマネジャーが注意を払っており、好条件がそろっていると判断しました。

鉱業ブーム後の次の産業への移行期ということで、ITにも注目が集まっていますし。

――人件費の上昇をプラスにとらえているんですね

人件費が高く、午後5時になったら大半の従業員が帰るとなると、いかにその限られた時間で効率よくワークするか、チームワークを高める方向に会社が動かそうとします。そうすると、情報を属人化させないようにITツールを導入して共有していく動きにつながっていくわけですね。

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サイボウズの青野慶久社長。「豪州は好条件がそろっている」

――オーストラリア市場での主力商品は何ですか

クラウドサービス「kintone(キントーン)」です。現在、世界的に、社内のサーバーを捨ててクラウドに移行している流れとなっています。

簡単に説明すると、クラウド上にデータベースを作って、それを従業員全員で見ながら仕事ができるようにするツールです。顧客リストを作成し、アポイントメントの設定や訪問後の報告を書き込み、リアルタイムで情報を共有するなどがよく使われる機能です。通常電子メールやエクセル、ワードファイルを利用してこなしている仕事のかなりの部分がkintone上で再現でき、情報が一元化できます。

――現地法人はまだ設立されていないですが、どう顧客開拓を進めていくのでしょうか

クラウドサービスということで、東京からのサポート中心で対応が可能です。

今後、販売や構築、研修、コンサルティング機能を担うパートナー企業を増やしていき、事務所の設立も検討していくことになると思います。広告展開やイベント開催も計画しています。

――ターゲットにしている産業分野はありますか

サイボウズの商品は業種業態があまり関係ないというのが特徴で、サービス業から製造業、金融業、飲食から小売りまで、幅広い業種で活用が可能です。

活用範囲はアイデア次第で、顧客やパートナー企業がサイボウズのプラットホームで新アプリを開発していってくれるという戦略です。在宅勤務など業務の実施場所が離れているケースでのニーズが多いですね。

――サイボウズの業務アプリは野菜工場でも使われていますが、オーストラリアの農業でも活用できますか

クラウドとIoT(Internet of Things)で農業の効率化が可能です。遠隔にいながら、複数の農場の温度や湿度などの状況をリアルに把握し、成長速度具合を推測したり、出荷時期を正確に当てたりすることができるようになってきてますね。

このほか、プログラムを入力したドローン(小型無人航空機)を飛ばして、橋のメンテナンスのため上空から写真を撮影し、データを管理することも可能です。また、高齢者の健康状態に関するデータを集めて、高品質な医療・介護サービスを提供するアプリなども作っていきたいですね。

――公共セクターに展開する可能性もありますか

ありますね。シドニー空港は自動パスポートゲートが設置されていて、到着から約10分で空港の外に出ることが可能です。IT効率化に投資する国として、日本よりも可能性を感じました。オーストラリアでの顧客数目標は特に設定していませんが、究極的には全人類70億人に使ってもらうことを目指しています。

――オーストラリアのソフトウエア大手、アトラシアンの最高経営責任者(CEO)と対談されていましたが、競合関係にある会社はありますか

サイボウズと直接競合するのは、米国のセールスフォース・ドットコムのサービスくらいなんです。kintoneにつなげてもらって、みなで便利になろうと考えていますので、アトラシアンを含めて他社とも相乗効果が生めればいいですね。

――ニュージーランドなど、ほかのオセアニア地域への進出は計画されていますか

70億人を目指すとなると必ずやりたいですね。ただ、難易度に応じた順番で進めていくことになります。どちらかというと国というよりは都市単位で検討しています。(聞き手・梶原千草)


関連国・地域: 中国ベトナムオーストラリア日本米国
関連業種: IT・通信

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