ブックフェアで訪日観光PR=日本勢

香港最大の書籍・文具見本市「第27回香港ブックフェア(香港書展)」が20日、湾仔の香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)で開幕した。日本勢は香港貿易発展局(HKTDC)の呼び掛けで今年もジャパンパビリオンを出展。多様化する香港人の訪日旅行需要に応えるため、アニメや漫画を絡めた旅など、新たな旅行スタイルを提案した。

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網走市のゆるキャラ「ニポネ」もブースに駆け付けた=20日、HKCEC(NNA撮影)

ブックフェア初出展の網走市は、同市にゆかりのある漫画「ゴールデンカムイ」を通じて香港からの旅行者誘致を狙う。

「ゴールデンカムイ」は北海道北広島市出身の漫画家・野田サトル氏の作品で、旧網走監獄も登場する。明治後期の北海道を舞台に網走監獄の死刑囚が隠した金塊を探し求めるストーリー。今年3月に「マンガ大賞2016」を受賞した。

同漫画は中国語繁体字に翻訳されたものが台湾で販売されており、既に人気が出ている。漫画を見て実際に網走市を訪れる人も増えているという。一方、香港ではまだ発売されておらず、知名度は高くない。網走市観光部の阿部伸也氏は「漫画を見て、『博物館網走監獄』を訪れる20~30代の外国人が増えている。こういった出展で個人にアピールし、市の知名度を上げていくことで旅行者を取り込んでいきたい」と意気込んだ。

ブースを訪れた10代の香港人学生は、「漫画は知らないが、中国語に翻訳されたものがあれば読んでみたい。北海道に行ってみたい」と話した。

ブースではこのほか、網走のご当地キャラクター「ニポネ」も登場し、注目を集めた。

■アニメ・漫画の聖地を募集

出版・映画大手のKADOKAWAは、日本のアニメ・漫画のゆかりの地を巡る体験型ツーリズム企画「アニメ聖地巡礼88カ所」の聖地選定プロジェクトを発表した。同企画では作者の出身地や作品の舞台など、日本のアニメ・漫画ゆかりの地を「聖地」と位置付け、世界中のアニメ・漫画ファンから日本各地の聖地を募集する。88カ所の聖地を巡るツアーも実施する計画だ。

発表会であいさつしたKADOKAWAの角川歴彦会長は、「香港の人は世界で一番日本を旅することが好きで、リピーターも多い。日本のアニメや漫画のゆかりの地を巡ることで、新しい日本の発見があると思う」と述べた。

聖地の募集はKADOKAWAが発行するアニメ雑誌「月刊ニュータイプ」やウェブサイトなどで始めている。角川会長は「サイトからはすでに約2,000カ所の応募がある」と明らかにした。

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KADOKAWAの角川会長も人気アニメ「らき☆すた」のキャラクターとともに登場=20日、HKCEC(NNA撮影)

募集は8月末まで行い、年内に88カ所を選出する。来年には巡礼ツアーを催行する計画で、KADOKAWAのアニメ制作者や作家、声優らがツアーに同行するという。

■しまなみ海道を自転車で

広島県からは香港との友好促進などを目的に企業などで組織した団体、広島日本香港協会と広島県観光連盟が主催で、ジャパンパビリオンにブースを設けた。広島県勢のブックフェア出展は初めて。

広島空港には昨年8月、約10年ぶりに香港への直行便が復活。現在は週5往復で運航している。直行便の復活により、広島を訪れる香港からの旅行者が飛躍的に増えている。

今年2月に同県内で宿泊した香港人旅行者は、前年同月比で約8.4倍に急増した。ブックフェアで県内の観光地や県産品を香港人に知ってもらい、さらに旅行者を増やしたい狙いだ。

出展の目玉は同県尾道市から四国の愛媛県今治市を結ぶ道路「しまなみ海道(西瀬戸自動車道)」のサイクリング。多くの島を橋で結ぶしまなみ海道のサイクリングコースは全長約70キロメートル。

潮風を浴びながら海上を自転車で走ることができるという珍しいコースは、米CNNが選ぶ世界7大サイクリングコースにアジアで唯一選出されている。現地では1日1,000円で自転車の貸し出しもしており、多くの外国人が利用している。

今回はサイクリングコースの実際の映像と自転車を連動させた、「しまなみバーチャルサイクリング」を持ち込んだ。自転車のペダルをこぐと、その速度に合わせて映像が動くというもの。体験した香港人女性は「疲れるけど、景色がきれい。広島に行ってみたくなった」と話した。

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広島のブースは体験マシンを持ち込んで、しまなみ海道のサイクリングをPRした=20日、HKCEC(NNA撮影)

広島日本香港協会の二神朋子(ふたがみ・ともこ)氏は、「広島県は世界遺産(厳島神社、原爆ドーム)が有名だが、夏はマリンスポーツ、冬はスキーも楽しめる。香港の人にもっと知って欲しい」と意気込んだ。

■リラックスの「ゆるたび」提案

香港ブックフェアに初出展した日本政府観光局(JNTO)は、香港人向けの訪日旅行の新たなコンセプト「ゆるたび(閒式遊日本)」を発表した。香港人の訪日旅行が大都市から静かな地方都市へと広がる中、「ゆったり」「心地よい」日本旅行を提案していく。

JNTOによると、2015年の訪日香港人(観光客)のうち81%が2回以上日本を訪れているリピーターだった。18%は10回以上訪れていた。旅行パターンもグルメやショッピングだけでなく、自然の鑑賞などが新しいトレンドとなっている。

こうした中、ゆるたびは生活リズムが早い香港人向けに高級旅館でのリラックスの旅や香港には少ない雄大な自然などを鑑賞する旅を提案していく。

香港の旅行会社と協力してゆるたびのコンセプトに合致するツアーにはゆるたび商品としてロゴを使用してもらうほか、香港島を走るトラム(路面電車)や路線バスにもラッピング広告を打ってPRする。

JNTO香港事務所の山田洋所長は、「ゆるたびでは四国、中部、北陸と北海道の道東・道南を重点的にPRしていく」と明らかにした。進む円高が香港人の訪日旅行意欲に与える影響については「どの程度影響が出るか留意している。ただ、香港人にとってはまだ日本でのショッピングや食事はリーズナブルだ」と述べ、大幅な意欲減退にはつながらないとの見方を示した。今年の訪日香港人は前年から2割増の180万人に達するとみている。

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JNTOは香港人向けにリラックスとリフレッシュのための新たな旅のコンセプト「ゆるたび」を発表した=20日、HKCEC(NNA撮影)

HKTDCによると、香港ブックフェアへのジャパンパビリオンの出展は3年連続3回目。今年は政府機関、地方自治体、企業など14社・団体が出展し、出展者数は過去最多となった。


関連国・地域: 香港日本
関連業種: 観光・娯楽マスコミ・出版・広告社会・事件

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