日系合弁が冷凍野菜工場 付加価値農産品の輸出拡大へ

日本企業3社と現地企業などがミャンマーの首都ネピドーに合弁で設けた冷凍野菜工場が14日、稼働した。数億円を投じた施設で、首都近郊や北東部シャン州でとれる野菜や果物を加工、冷凍して日本に輸出する。出資企業の一つで冷凍野菜卸大手の京果食品(京都市)は、ミャンマーを新たな調達先に育てる考え。加工野菜の輸出は、ミャンマー政府が目指す高付加価値農産品の輸出拡大に向けた試金石にもなる。

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工場で加工した野菜を試食するアウン・トゥ農業・畜産・かんがい相(左)=14日、ネピドー(NNA撮影)

京果食品、漬物メーカーの新進(東京都千代田区)、現地のミャンマーベルの3社が各30%、コンサルティング会社リーテイルブランディング(東京都港区)と台湾の個人投資家ユ・テ・ヤン氏が各5%を出資して昨年設立した合弁会社「ミャンマー・アグリ・フーズ」(資本金50万米ドル=約5,290万円)が、ネピドーのピンマナ郡区に工場を設けた。投資額は数億円規模で、加工品の生産能力は年5,000トン。従業員は現在100人で、フル稼働時には450人へ増える見込み。

ミャンマー側株主であるミャンマーベルのイェ・ミン・マウン社長(合弁会社の社長を兼務)はNNAの取材に、「まずは全量を日本に輸出する。世界で最も厳しい日本の基準を満たすことは、将来的に欧米に輸出先を広げる第一歩になる」と語った。ネピドーは首都で電力供給が安定し、農産地やヤンゴンを結ぶ物流面でもメリットがあると判断した。

工場の敷地は6.8ヘクタールで、建屋は6,500平方メートル。5ヘクタール分は試験農地として日本から持ち込む種の試験栽培に使う。シャン州南部のへーホーにも13ヘクタールの試験農地を確保。平地野菜はネピドー近郊、高原野菜はへーホー周辺から調達する。

京果食品の太田垣公一社長(合弁会社の会長を兼務)は、「種は日本から供給し、現地の農家に育ててもらう。(土壌の改良や肥料の活用といった)栽培方法は徐々に農家の人に伝えていく。品質管理が最も重要だ」と話した。中間業者を通さず契約農家から直接買い付ける方式で、農家の所得向上も後押しする。現在はオクラ、アスパラガス、インゲン豆など一部の農産品の調達がはじまり工場が稼働。秋ごろから里芋、カボチャ、ホウレンソウなど他の野菜にも広げる。マンゴー、ライチといった果物の加工も計画する。

工場で簡易加工して冷凍し、冷凍コンテナで陸路ヤンゴンの港まで輸送、船で日本向けに出荷する。京果食品は従来、海外では中国からの調達が中心で、ベトナム中部高原のダラットからも調達。今後はミャンマーを主力調達先の一つに育成する考えだ。

アウン・トゥ農業・畜産・かんがい相は14日の工場開所式で、「農家の所得向上と農業技術の発展、国際市場開拓に貢献する事業」と評価。「農業ベースの産業発展を、政府も後押ししていきたい」などと話した。式典には地元の農家も多数参加した。

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日本を皮切りに世界市場を狙うと語るミャンマーベルのイェ・ミン・アウン社長=14日、ネピドー(NNA撮影)

イェ・ミン・マウン氏は、ミャンマー政府が農産品輸出を拡大するための課題として、「民間企業や財閥が短期的な利益を重視して不動産業や鉱物の販売に資本を投じ、時間がかかる農業の底上げや、付加価値加工品の育成に取り組む企業が数えるほどしかない」と指摘。国民民主連盟(NLD)政権ついては「国の支援が足りない。農業重視の方針は示しているが、実際の動きはまだこれからだ」と話した。

ミャンマーベルは、2014年に新進と別の合弁会社「ミャンマーベル新進フーズ」も設立。乾燥野菜の製造を手掛けている。物流会社、日本ロジテムとも合弁事業を手掛ける。


関連国・地域: ミャンマー日本
関連業種: 食品・飲料農林・水産

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